大学院での学びがキャリアに直結、環境コンサルタントとして環境問題に取り組む
吉岡 実里[写真左]
日本エヌ・ユー・エス株式会社
2017年 理工学部 総合理工学科卒業
2019年 理工学研究科 環境システム学専攻修了
第59回大気環境学会年会 ベスト発表賞(2018年)
大気環境学会 論文賞(学生・若手部門)(2019年)
伊藤 美羽[写真右]
株式会社エックス都市研究所
2019年 理工学部 総合理工学科卒業
2021年 理工学研究科 環境システム学専攻修了
第60回大気環境学会年会 ベストポスター賞(2019年)
大気環境学会 論文賞(技術調査部門)(2021年)
大学・大学院での研究について教えてください。
吉岡 大学4年生から修士課程2年生まで、櫻井達也先生の研究室で、大気汚染について研究しました。中でも光化学スモッグの原因となる光化学オキシダント(Ox)に着目し、櫻井先生がメンバーの一人である環境省の研究プロジェクトに関わらせていただきました。その中でコンピュータシミュレーションを使い、大気中のOx濃度が高くなる原因の解明を試みました。また観測気球を飛ばして、実際に大気中のOx濃度を測定し、シミュレーションの精度検証も行いました。
伊藤 私は別の研究プロジェクトで、瀬戸内海の大気汚染物質状況について研究しました。瀬戸内海は船舶の航行密度が高いので、船舶排ガスの排出状況のマップ化に取り組んだり、船舶に乗船して大気濃度を測定したりするなど、現地調査はとても良い経験になりました。2年先輩の吉岡さんは、目標であり憧れの存在です。研究でわからないことがあると、まず吉岡さんに相談し、アドバイスをいただいていました。
吉岡 二人とも大気環境学会に積極的に参加し、それぞれ発表・論文で受賞しました。そのような成果もあり、日本学生支援機構から特に優れた業績を挙げた者として、奨学金の全額返還免除の認定を受けました。
今のお仕事について教えてください。
吉岡 大学時代にインターンシップを経験してその仕事の面白さに惹かれ、日本エヌ・ユー・エス株式会社に入社しました。現在は環境コンサルタントとして、クライアントの依頼に応じて大気環境のシミュレーションを行ったり、自治体や企業の方々に気候変動問題や大気環境対策について、わかりやすく理解してもらえるような普及啓発の業務を担っています。
伊藤 私も株式会社エックス都市研究所で環境コンサルタントとして仕事をしています。主に大気汚染物質のほか、大気に排出される残留性有機汚染物質や水銀などさまざまな化学物質について、排出状況のマップ化や排出抑制対策の提案、支援などを行っています。
大学・大学院で学んで役立っていることはありますか。
吉岡 大学・大学院での学びや研究が今の仕事に直結しているので、専門知識や話すスキルなど、今に生きていることはたくさんあります。特に良かったのは、国際学会で発表したことや、論文を執筆し、学会誌に掲載された経験です。その中で研究者や専門家の方々との人脈を得たことも、財産になっています。
伊藤 私も、論文の執筆は本当に大変でしたが、今でも業務のヒアリング先で、私の論文を読んで名前を知っていてくださる方から声をかけていただくこともあります。専門性を身につけられただけでなく、大学院で研究者として業績を積んだことが、仕事をする上でも大きなアドバンテージになっていると感じます。
お二人とも学会や行政の委員会運営でも活躍されています。
吉岡 櫻井先生にお誘いいただいて、今年から学会やセミナーの運営などにも携わっています。櫻井先生や伊藤さんと再び一緒に仕事ができるのは嬉しいです。でも会議などで発言する時は、先生や後輩の前で成長した姿を見せなければと、いつも以上に緊張しています(笑)
伊藤 私も、櫻井先生と吉岡さんと同じ専門分野で再会でき、これほどやりがいのあることはありません。これを機に、吉岡さんと食事に行ったりして、いろいろな話をするのも楽しいです。
2024年7月掲載
*内容・経歴は取材もしくは執筆時のものです。