燃焼工学から見たピザ窯
お節介な研究広報さん
ワンキャンパスに9学部1学環が集結した総合大学である強みを生かし、各学部の教員がそれぞれの視点や専門性を持ち寄り、掛け合わせ、「多摩の里山を楽しむキャンパス」というコンセプトで活動している「明星SATOYAMAプロジェクト」
このコーナーでは、学内の自然環境・資源・歴史に着目し、その活用と地域連携について考える活動の報告と、それに携わる教員の紹介をしていきます。
学内の自然環境や資源に注目
理工学部の齊藤剛教授(燃焼工学研究室)は、学内の自然環境や資源に注目し、ペレットの燃焼剤としての有効性を実験しています。齊藤教授の専門分野は熱工学とエネルギー科学。燃焼、レーザー着火、バイオマス燃焼などを研究しています。
「街中ではただのゴミとなってしまう落ち葉ですが、学内の膨大な落ち葉を利用して落葉ペレットを作ることができます。落葉ペレットであっても木質と同程度の発熱量を出すことが可能です。落葉を乾燥させ、破砕したものの水分量を調整し、圧縮成形してペレットを作ります。落ち葉や間伐を作ったバイオ燃料は化石燃料に比べて温室効果ガスの排出や大気汚染の削減に貢献することができるエコなエネルギーです。」
落葉ペレット制作のための治具の設計、製作からはじまり、そのままでは脆い落葉ペレットの硬度を明らかにし、運搬に耐えられるほどの強度を持たせる工夫を考えていくことも研究しています。さらに強度を増すことができれば、落ち葉ブリケットや人工薪への応用も考えられます。
この齊藤先生の研究室(燃焼工学研究室)では、学生たちが移動式のピザ窯を自作しています。また、ピザを焼くためのエネルギーを学生たちの手で作り出し学内で完結させている点も特徴的です。「里山などで間伐した丸太を1年間乾燥させ薪を作ります。来年の後輩のために倉庫で1年干し、代々引き継ぎながら行っているこのプロジェクトは今年で6年目です。」
学生たちが改良を重ねている移動式ピザ窯は現在3代目。壁からの「ふく射熱」を利用できる形状にする等、効率化を図るために試行錯誤しているとのこと。
自作のピザ窯で120秒ほどの短時間で焼き上げるピザため、外側は香ばしくカリカリに、内側はしっかりうまみがあります。専門店のようにふちに黒い焼き目がつき美味しいと、学部を超えて大好評です。この焼き立てのピザは、例年学祭で出店している他、上記のSATOYAMAプロジェクトのワークショップ参加者たちにも提供されました。
ひとこと
年月掲載
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