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研究前にひと休み #02

無限の組み合わせを考える研究!?

冨宿 賢一

理工学部 総合理工学科
教授 /博士(理学)
生物機能有機化学研究室

酵素を使った有機合成の研究をされている冨宿教授。前回は自然界から酵素を見つける方法や、人にとって不要な物を分解する面白い酵素について教えてもらいました。今回のテーマは「有機合成」ですね!

有機合成とは、有機化合物を人工的に作ることをいいます。
有機化合物は、炭素を基本の構成成分に、水素や酸素、窒素などと組み合わさってできています。

確か、医薬品や農薬、洗剤、化粧品等なども有機化合物ですよね?

他にも衣料の繊維、家電製品に使われる有機ELや液晶なども有機化合物ですよ。

おお~!生活に欠かせないものばかり。これらは石油で作られているんですよね?

はい、多くの有機化合物は石油から、具体的には、ナフサ(石油に含まれる炭素と水素からなる低沸点の混合物)とよばれる単純な構造の有機化合物の集まりから作られます。

ふむふむ。それがどのように医薬品になったり、
液晶になったりするのでしょうか?

まず純粋なものに分別した後、それを材料に化学反応の組み合わせで複雑な構造のものに変化させます。だから組み合わせ次第で無限に色々なものを作り出せるんです。

なるほど。組み合わせを考えて新しい化学物質を作り出すことが有機合成の面白いところですね!

ただし簡単なことではないですし、いいことばかりでもないのですよ。高温・高圧など多くのエネルギーを消費する厳しい条件が必要だったり有害な有機溶媒や重金属試薬が大量に使用されたりと、環境への負荷が非常に大きいことが問題なのです。

え! それは大変じゃないですか!!

そこで、私たちが注目しているのが酵素です。酵素は、30℃付近の水中という、体の中に近い穏やかな条件で化学反応を促進することができます。酵素は生物がつくりだすものなので、分解させたり再利用したりするのも比較的簡単なんです。

石油と比べて酵素はずいぶん省エネルギーですね!

酵素はもともと生体内での反応を促進するというのもあり、バイオマス(生物資源)の化学反応も促進することができます。つまり、酵素を使ってバイオマスの利用が活発になれば、石油資源の枯渇にも対応できるんです。

省エネで環境への負荷も少ない…
酵素研究は持続可能な社会で必要とされる研究ですね。

そうですね。次回は、どのように酵素を使って有機合成を行うのかをもう少し具体的に話しましょうか。

化学と生命科学、両分野の融合という感じですね! 次回も楽しみです。

冨宿 賢一

理工学部 総合理工学科
教授 /博士(理学)
生物機能有機化学研究室

冨宿 賢一

専門分野

生物有機化学、応用微生物学

キーワード

生体触媒、酵素、微生物、光学活性物質、生物活性物質、不斉合成、ドミノ反応

研究室HP

生物機能有機化学研究室

教員情報

明星大学教員情報 冨宿 賢一

生物機能有機化学研究室では、化学と生命科学、両分野の知識や技術を学びながら、「酵素」の特徴を最大限に活かして、香料や化粧品、農薬、医薬品など役に立つ物質の「有機合成」に取り組んでいます。

2025年3月掲載

*内容・経歴は取材もしくは執筆時のものです。