レポート|【建築学部】耐震コンペ_魔改造の朝「震度7の揺れに耐えよ」
おせっかいな研究広報さん
明星大学 建築学部 地震工学研究室 年縄巧 教授

研究広報:今回は、明星大学建築学部の耐震コンペの様子をレポートします。よろしくお願いします。はじめに、年縄教授のご研究について簡単に教えてもらえますか?
年縄教授:はい。建築学部で地震動の発生に影響する「震源特性・地盤特性」を解明する研究をしています。私の研究室「地震工学研究室」では、建築の構造によって耐震の強度がかわることを研究している学生もいます。
研究広報:ご専門の地震工学は社会的な関心も高い分野ですよね。
年縄教授の研究と研究室の学生はLiT3号(2025spring)で紹介していますのでぜひLiT本編も読んでもらいたいです。
▼web版は2025年4月公開予定

耐震コンペ「魔改造の朝」
研究広報:さて今回のこちらのレポートでは耐震コンペ「魔改造の朝」(主催:年縄巧教授/協力教員:鱒沢曜准教授・松尾智恵准教授)について聞いていきたいです。
何やら気になるタイトルです。このコンペの対象者を教えてください。
年縄教授:このコンペは3年生の必修の「建築都市エンジニアリングスタジオ」の授業です。
(3年生は、①建築都市エンジニアリングスタジオ②建築デザインスタジオ③建築住宅スタジオ の中から1つ選択)
研究広報:3年生の年縄先生の授業だったのですね。この耐震コンペについて簡単に教えてください。

年縄教授:建築構造物を模した簡単な模型があるのですが、このままの模型だと熊本県益城町の地震(震度7)に対して壊れてしまうので、それに耐えうるように改造しなさいというのがお題です。模型はグループごとに改造して、三次元振動台を使って実験します。
研究広報:なるほど。LiTで取材させてもらった時の復習になりますが、三次元振動台は、左右・前後・上下にも振動して実際の地震の動きを再現することができるという建築学部の実験装置でしたよね。

研究広報:まずはグループごとに模型を改造するとのことでしたが、改造についてはどのようなルールがあったのでしょうか。
年縄教授:はい。次のようなルールを設けました。
耐震コンペ 模型試作のルール
①柱が折れたり模型が転倒したりしたらアウト
②筋交いなどの耐震要素を付けてはいけない(輪ゴムやひも等による上板の固定もNG)
③柱接合部は改造してはいけない
④柱は増やしてはいけない(基本の柱2本のみ)
⑤おもりは天板に固定する
⑤天板・土台を加工してもいい(金具、穴あけはOK)がおもりは載せられるようにする
⑥おもりの上に何か載せてもよい
⑦模型の土台は枠板に直接固定しなくてもよい
研究広報:ふむふむ、なるほど。柱を増やしたり、重要なものを固定したりするような、あからさまな「耐震」加工はできないかんじでしょうか。ちなみに、材料を調達するところから課題として出しているんですか?
年縄教授:そうです。基本の材料を探して検討するのも建築学生に必要な学びですので。ちなみに材料費は5000円以下とルールを設けています。(基本モデルの材料や端材、既存ビス等は支給)

研究広報:模型の試作風景の動画もInstagramにupしたんですが、学生のみなさんが「ああでもない、こうでもない」という雰囲気で試行錯誤している様子が、とても楽しそうでした。模型試作のあとは具体的に何をしていくのか、実際のコンペについて詳しく教えてください。
年縄教授:模型を作ったあと、作品名を考えてもらいます。あと、事前の三次元振動台による試技はできないことになっていますが、台車の使用は可としましたので、台車の上に載せてテストをします。
研究広報:学生さんが模型を載せた台車を揺らしている動画もInstagramにupしましたが、「震度7以上あるんじゃないかな?」というくらい激しく揺らしても、倒れていない作品がありましたよね!「これはすごい!」と思いました。

年縄教授:コンペで成功をおさめたチームAの作品「バンジーボールキャスター」ですね。
台車を揺らしてある程度確認した後はいよいよ試技です。三次元振動台で地震を再現して倒れないかテストします。試技は2回までとしました。第1試技と第2試技の間は10分間あるので、そこで多少は再検討できることになっています。


研究広報:この耐震コンペを授業で行うにあたっての、年縄先生の意図や、学生に向けたメッセージなどありましたら教えてください。
年縄教授:耐震工学(振動学)は構造力学の応用分野であり、学生は苦手とすることが多いです。しかし、実験を通して学生が楽しそうに取り組んでいるのを見て、やはり机の上だけの応用だけでは不十分だなと思いましたね。
研究広報:学生のみなさん、実際に手を動かした実践的な学びを楽しんでいましたね。
年縄教授:学生には難しいことも楽しく学んでほしいです。
研究広報:今回は建築学部の耐震コンペについてレポしました。建築学部は、まだまだ紹介したいおもしろい取組みがたくさんあるのでよろしくお願いします。

ご存知の方も多いと思いますが
消力は「シャオリー」と読みます。
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ひとこと

年月掲載
*内容・経歴は取材もしくは執筆時のものです。